現代人を悩ませる疾病の1つに花粉症がある。

今時知らない人も少ないだろうが、花粉症とは植物の花粉に対するアレルギー反応の一種で、特定種の植物花粉に対して、体が強い抗原抗体反応を示すなんともやっかいな症状の総称である。

この時期ニュースでも風物詩的な取り上げ方をされるため、花粉症を患う人々は日々刻々と変化する花粉の飛散状況をみては戦々恐々としていることだろう。

かくいう私も現代人のはしくれとして、毎年この時期には悲しくもないのに目に涙を浮かべ、風邪でもないのにくしゃみを連発するような生産性のない行為を余儀なくされている。

私の身体がアレルギー反応を示すのは、よくあるスギ花粉ではなくてイネ科の植物の花粉らしい。

多少昔の話にはなるが、実家が新潟の米どころにありながら、イネ科の花粉アレルギーであると判明した中学生の秋のこと、己が身の不幸を呪わずにはいられなかったものである。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」などと悠長なことを言っている場合ではない。
なにせ360度見渡すかぎり田んぼ田んぼまた田んぼの魚沼盆地にあって、イネ科の花粉症ときたものだ。
勢い実ったところで垂れるのは鼻水ばかりである。

多勢に無勢過ぎて、一騎当千とかそういうレベルの話じゃない壮絶な負け戦であった。

時は流れて幾年月。
北海道に移り住んだことにより、当時のように泣き腫らした目で田んぼをにらみつける毎日は過去のものとなったが、道内にはびこるイネ科連中との攻防は今も続いている。

イネ科のお歴々は「チモシー」とか「カモガヤ」とか、いちいち名前が可愛らしいのがなおのこと気に入らない。
そこで今年は高級ティッシュ「鼻セレブ」を装備して戦う所存である。
あれはパッケージがかわいい。